U様は全国各地の電車を巡り、一眼レフカメラに収めてきた大の鉄道ファン。外出できない雨の日などは、鉄道雑誌やDVDを見ることがお好きでした。
あれから7年。体が不自由になり、認知症が進んで、言葉や表情がほとんど見られなくなりました。食事もままならなくなり、主治医からは終末期の説明がありました。
そんな中、U様だったらどう過ごしたいと思うか?私たちは考えました。そして、本物の電車を見に行くことにしました。紙面や画面では味わえない、走る電車の疾走感や音などをもう一度体感いただく。それがU様の活力になるかもしれない。負担をかけないよう暑さや所要時間を見ながら、電車が間近に見えるスポットへ向かいました。
言葉はなくても、走る電車に目を輝かせていたU様。10日後、U様は旅立っていかれました。
最期の電車巡りにご一緒させていただき、ありがとうございました。
これからも皆様に寄り添ったケアをさせていただきたいと思います。