ウェルミー上目黒に入居して1年の大畑よし子さん(90歳)。
入居前の在宅介護での経緯や入居後の暮らしについて、娘の松本静子さんにうかがいました。
■入居する前のご様子
母はウェルミー上目黒に入居するまで、同じ敷地の別建物に住んでいました。父(よし子さんの夫)は、8年前の2015年に他界しましたが、母の認知症の症状は、父が存命中からありました。
隣家なので、気にはかけていましたが、ほとんど夫婦二人暮らし。訪問介護やデイサービスを利用しながら、父は亡くなるギリギリまで、母のサポートをしてくれていました。
母を子供に押し付けちゃ悪いと思っていたようです。
母は、父の世話をしようしていました。でも、もの忘れがひどく、買い物に行っても、買う予定のものとは違うものを買ってきてしまったり、引き出しを開けても、何しようとしたかがわからなくなったりの状態。しかし母は「私がやらないとお父さんが困る」と思い込んでいるので、娘の私が手伝うのをとても嫌がり、補助しようとすると、「私がやるのに!」と、とても怒りました。母の思いを尊重すると、どこで・どう・どんなサポートをすればいいのかがわからなくなり、なかなか手が出せず、本当に難しい時期でした。
父が亡くなってからは、時計が止まっていたら何度もご飯を食べてしまったり、デイサービスに行く日なのに忘れてのんびりしていたり、別の日には、30分も前からお迎えを待っていることもありました。それでも、ケアマネさんに相談しながら、長年お世話になっていたヘルパーさんやデイサービスにお任せして、生活をサポートしてもらっていました。娘じゃなきゃできないこと以外は、できるだけ頼めることは頼もうと思っていました。
■在宅で介護しておられた時の状況
いつまで、この状態が続くのか、自分達だって歳をとっていくのにと、不安が膨らんできた2020年頃、新型コロナウィルスが感染拡大し始めました。
感染者が出て、通っていた複数のデイサービスが利用できなくなり、訪問ヘルパーさんに来てもらえなくなって、すべて自分が担う状況になった時もありました。
身体介護と認知症ケアの違いは大きいと思います。母は、話しの辻褄は合うし、普通に動けるので、近所の方からは気づきかれにくく、家族の苦労を理解してもらえない。施設への入居は「姥捨て山」のような感覚がまだ残っている方が多い中、私自身も「家族が看なければ・・・」と思っていました。
在宅介護では、やってもやってもやり足りない、もっとできるはずと思っていました。ご飯だって、もっとちゃんと作って持っていけるのに・・・と。自分に合格点を出せず、いつもマイナス評価。精神的・肉体的にも、この状態を続けるのは無理。と何回も思いました。
私がもたない!施設に入居してもらうしかない!そう決心したつもりでも、「もうちょっと、がんばれるかも」と思い直し、自分を鼓舞する。でも、また何か起こる度に「もう無理」と辛くなってしまうということを繰り返していました。
そんな様子を見て、友人や仲間が背中を押してくれたんです。