人気バラエティ番組の「俳句の先生」として人気の俳人、夏井いつきさん。年齢を重ねていく中で俳句を嗜むことが何をもたらすのかについて、またご自身の将来について抱いている思いについても語っていただきました。
いくつになっても心明るく人生を送るための「杖」、それが俳句
日本が生み出した俳句という文化を、過去のものにしたくない。100年後も、誰もが日常的に楽しめる文芸であってほしい。そんな思いを抱いて、いろいろな形で「俳句の種まき」活動をしてきました。いつの間にか一緒に俳句を楽しみ、裾野を広げていってくれる仲間もずいぶん増え、「俳句は堅苦しい」「ハードルが高い」といった誤解も少しずつ解けてきているんじゃないかと思っています。
俳句は、周囲にあるものとの交信から生まれてくるもの。大自然を求めて出かけていかなくとも、身近な生活の中に俳句の題材はあふれています。人間、年齢を重ねれば家から出るのが難しくなりますし、自分の脚で歩くことが難しくなる日も必ず訪れるでしょう。それでもなお楽しみ続けられるのが、俳句の魅力。人生を豊かに、心明るく生きていくための「杖」だと私は思っています。
母が吾をまたいでゆきぬ年の暮 いつき
自分の老後に目を向けたとき、子どもに介護の負担をかけるのは、できれば避けたいと思っています。私自身も母の世話をしていた時期があったのですが、どうしても無理が生じるんですね。仕事柄、当時から家を空けることが多く、帰宅したときにおかずを作り置きしていくのですが、やはり側にいてあげられないので母も機嫌が悪くなる。私も「こんなにがんばっているのに」という気持ちが抑えきれず、自分がどんどん嫌な人間になっていくような感覚に陥っていました。
そんな窮地から脱出できたのは、海外に住んでいた妹が帰国して、母にぴったりのホームを探してくれたおかげ。安心して任せられるプロの頼もしさを、身をもって実感しました。もともと歌が好きだった母は、入居後そのホームのアイドルとして他の入居者の皆さんや職員の方々との交流を楽しみ、心穏やかな晩年を送れていたと思います。
思えば母は多くの人に囲まれて過ごすのが好きなタイプで、自宅で一人過ごすこと自体、望ましい環境ではなかったのでしょう。もちろん、世の中には逆に、自分だけの時間を大切にしたいタイプの人もいます。長谷工シニアウェルデザインのホームは、そんな一人ひとり異なる適切な距離感=「心地いい『間』」を大切にしているそうですね。これは相手をよく見て、思いを汲み取らなくてはできないこと。俳人にも通じるその理念を大切にしながら、サービスを磨き上げていっていただきたいと思います。これから老後を迎える人間の一人として、質の高いホームが増えていくのは大歓迎。期待してますよ!
加えてぜひ知ってほしいのが、作った俳句を通じて人とつながれること。対面の句会はもちろん、雑誌やラジオ、インターネットにも交流の場は広がっています。俳号というペンネームを通じて、年齢も肩書きも知らないまま互いの句を鑑賞し、ファンになったりなられたり。まだ経験していない人にも、ぜひその楽しさを味わってみてほしいです。
俳句、始めてみませんか?
夏井先生が選句を行う「おウチde俳句大賞」。現在エントリー受付中の第7回大会に、長谷工シニアウェルデザイン特別協賛の「毎日凸凹(まいにちでこぼこ)部門」が加わりました。これからの人生を、もっと心豊かに生きていく第一歩になるかも? ご応募、お待ちしています!