スクラップブックいっぱいにファイリングされているのは、さまざまな新聞や雑誌から切り抜いた千葉ロッテマリーンズの関連記事。「ブランシエール千種」にお住まいの西村昌彦さん(90歳)は、70年にわたって同球団を応援し続けてきました。ホームにご入居されてからもその熱意は衰えることなく、情報収集とスクラップブックづくりを続けています。日々重さを増していくブックは、いずれ球団に送り、披露する計画。コロナ禍が落ち着き、また球場で試合を観戦できる日が来ることを心待ちにしています。
こうした思いに寄り添い、ご入居者が「自分らしさ」を発揮できる生活を送っていただくべく、当社では「顔の見えるケアプラン」に取り組んでいます。ご入居者のふとした発言やご家族との会話から情報を得たり、隠れたニーズを把握するために専用シートにご記入いただいたり。ご入居者の意欲を引き出すために、スタッフが一丸となって関わります。こうして拾い集めたご要望を踏まえて、お一人おひとりのやりたいことを実現するケアプランを作成。セカンドステージを前向きに楽しんでいただくお手伝いをしています。
西村さんのスクラップブックづくりは、同じく野球観戦好きである長男・友秀さんからのリクエストで「顔の見えるケアプラン」の目標として位置づけられました。友秀さんと長女の公江さんは「父が父らしく暮らせていることに感謝したい」と声を揃えます。「もちろん安全で健康的な生活は重要ですが、ホームでの生活にはそこに『生きがい』が加わる。本当にありがたいですね」。
お一人おひとりと向き合い、具体的で有効なプランを作成・運用
従来の高齢者施設のケアプランは、抽象的で似たり寄ったりな目標になりがちでした。「顔の見えるケアプラン」は、その真逆。内容を見れば、対象のご入居者がどんな方なのかイメージできるような、具体的なプランを作成します。しっかりとご入居者に向き合わなくては的外れなものになってしまうため難易度が高いのは事実ですが、西村さんやご家族の皆さまのように喜んでいただけると、やっていて良かったと感じますね。
まさに、当社のビジョンである「『歳を重ねる』ことを、誰もが楽しめる社会。」につながる取り組み。将来的には、業界全体に広めていくだけの価値があると思っているので、きちんと成果をあげ、好事例を増やしていきたいと考えています。