株式会社 長谷工シニアウェルデザイン

Maraku Interview スタイリスト 西 ゆり子

間楽 ーまらくー

Maraku Interview スタイリスト 西 ゆり子

「ときめき」を身に纏って変化を楽しみながら
過ごしていきたいですね。

Profile ────

テレビ番組におけるスタイリストの草分け的存在として、『ギフト』『電車男』『のだめカンタービレ』『セカンドバージン』『リーガルハイ』『時効警察』シリーズ『七人の秘書』など、携わった作品は200以上に及ぶ。2020年には「日本女性放送者懇談会50周年特別賞」を受賞。2022年より、一般個人向けにスタイリングの知識が学べる「着る学校」を展開している。

撮影 : 回里 純子

テレビドラマを中心に、スタイリストとして長年第一線で活躍されている西ゆり子さん。私たちの掲げる三つのサービスコンセプトの一つでもある、 「ときめき」を持ちながら豊かに過ごしていくためのヒントをお聞きしました。

「自由に生きる」って、シンプルである反面とても難しいことですよね。何をしたって良いし、何もしなくても誰にも文句を言われない。そんな究極に自由な状態にあったとしても、漫然となんとなく時間を過ごしていては、充実感を得ることはきっと難しいと思います。自由な時間を本当に楽しみながら生きるには、原動力となる「ときめき」を持つことがとても大切だと感じています。

 私の場合はやはり、装いから得られるときめきが欠かせません。「ときめかない服は一切着ないぞ」という気持ちですね。基本的にその日の予定を踏まえて、たくさん歩く日は靴から選んだり、会食がある日は華やかさをどうプラスしようか考えたり。なんでもない日でも、好きな服を着ることは「ちょっと外に出てみようかな」という気持ちにさせてくれます。そうして見上げた空が青かったりするだけで気持ちが晴れやかになる。せっかくだからカフェでお茶でもしようかしら、と自分を外の世界へ導いてくれます。このように、「衣食住」の「衣」を彩るだけで、食事や暮らしもワクワクする方へと広がっていきます。

 スタイリストとしてコーディネートを手がける際は、私の好みだけで洋服を選ぶことはありません。トレンドを発信するファッション雑誌では、いかに洋服が魅力的に写るかが大切です。一方、ドラマや映画の場合は、役柄をファッションでいかに表現できるかがスタイリストの腕の見せどころ。ですから雑誌は洋服を中心に、ドラマや映画は人物を中心にコーディネートしています。
 一般の方々にアドバイスする際は「ぜひご自身の好きな服を着て毎日を過ごしてください」とお伝えしています。仕事が忙しかったり、子育てに奮闘したり、体型が変化したりしていくうちに、徐々に好きな服を着ることを諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。私や私よりも少し上の世代の方々は特に、人のためなら自然と行動できても、自分自身の「好き」に目を向けることにはあまり慣れていらっしゃらないかもしれません。

 しかし、これからの人生にはそれこそが必要だと思います。皆さんが着ることを楽しむお手伝いができたらと、2022年より「着る学校」をスタートしました。何より好きな服を着るワクワクを味わってほしいですし、色や素材の選び方を知るだけで、洋服を選ぶ際の一つの道しるべになるはずです。
 70代を迎えた私の収穫は、良い意味で「解き放つ」ができるようになったこと。その日お茶を飲むカップにまでこだわって生きてきましたが、それらを一旦解き放って流れに身を任せてみたら、とても気持ちが軽くなりました。そして、世界が広がったのです。自分らしさは大切にしつつも、固執せず、歳を取ったからこそあえて謙虚さを持って受け入れることができれば、さまざまな発見があると気付きました。高齢者住宅ではたくさんの方と交流する中で、きっと毎日が小さなワクワクであふれる魅力的な暮らしができるのだろうなと思います。
 何歳になっても心がときめくものを大切に、変化する自分を楽しむ――「着る」を通して、そんな生き方のお手伝いをしていけたらと思っています。

書籍
『ドラマスタイリスト 西ゆり子の服を変えれば、人生が変わる』

(主婦と生活社)
「服」から始める、明るい人生のつかみ方指南書。

着る学校- Styling School -
「何歳になっても着ることを楽しむ」をテーマに、着ることにまつわる多彩な知識や情報を取得・学習できるコミュニティです。入学無料。どなたでもご参加いただけます。
詳しくはこちら : https://www.stylingschool.org